TAISHIとは
TAISHI※はアドバンスドテクノロジーラボが独自に開発した、スマート対話システムです。
クラウド型Web-APIにより、Webサイト、スマートフォン、ロボットなど、さまざまな領域で対話型インタフェースを利用することができます。
一度に10人の話を聞き分けたとされる「聖徳太子」に、人工知能「AI」を含ませ、「TAISHI(タイシ)」と名付けました。
※「TAISHI」は株式会社リクルートの登録商標です。
アドバンスドテクノロジーラボについて
アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)は、リクルートテクノロジーズの研究開発部門です。
オープンソースソフトウェア(OSS)をはじめとする、自然言語処理、検索エンジン、IoT、まだ世の中に広まっていない
次世代技術などの調査研究・実証実験などを行っています。
TAISHIにできること
- シンプルWeb-API
- Web-APIにより対話機能が利用できるため、インターネットを通じて、様々なデバイスやメディアで利用可能です。
- 多目的会話データ
- 応答会話データとして、挨拶や雑談を含む基本会話データを標準で備えておりますが、更に複数の業態別会話データと、カスタマイズ可能な個別会話データが利用できます。これらの会話データを簡単に差し替えて利用できるため、さまざまな業態・業種・サービスで対話I/Fを実現できます。
- 外部サービス連携
- クラウド上で外部Webサービスとの連携機能を備えており、会話と組み合わせたWebサービス連携も可能です。(接続方式により個別に実装)
- ログ集計
- 主要な対話機能の他、会話ログを独自のログ集計基盤に連携させることが可能です。これにより、ユーザーの会話傾向分析や、応答データのブラッシュアップにも活用できます。アーキテクチャの紹介も併せてご覧ください。
開発の経緯
TAISHIは、アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)が長年研究開発を行ってきた自然言語処理技術を活用し、独自に開発されました。
対話型インタフェースにより、スマートフォンやPCの扱いに慣れているユーザーはもちろん、
不慣れなユーザーに対しても公平に情報を提供することが可能になり、情報格差をなくすことで社会に貢献するだけでなく、
多くの人が情報を活用できるようになり、今まで情報が届かなかった人への情報発信、
新たな領域やターゲットの拡大が期待できます。
TAISHIの進化
特 長
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独自の会話データを追加可能
雑談など基本応答会話データ(会話辞書)に加えて、業種やサービス毎に辞書の差し替えが可能です。
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検索エンジンの技術を用いた、高速レスポンスを実現
Pepperなど、音声認識を利用した対話に利用することで、より自然な会話を実現できます。
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安全な応答を重視
基本的にホワイトリスト方式をベースとしており、応答してはいけない内容などを容易にコントロールできます。
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外部連携
他のAPIサービスとの連携が可能で、会話の応答に反映させることができます。
事例紹介
ATLは、ソフトバンクロボティクス社の人型ロボットPepperにTAISHIと連携した独自会話機能を搭載しました。
独自会話機能を搭載したPepperとしては、世界初となった実店舗での事例です。
Pepperとの会話、コンテンツやゲームを通して、大人から子どもまでユーザーの反応を調査、
店頭でのマーケティングデータ収集、集客への活用可能性を研究しました。
沖縄銀行様との取り組み
株式会社沖縄銀行様との取り組みで、TAISHIの金融会話辞書の構築と、文脈考慮機能を追加したPepperを開発しました。
現在、沖縄県内の複数の支店に、「ロビーアシスタントPepper」として活躍中です。
コミュニケーションUIの採用
Pepperとの会話内容を容易に把握可能な、独自コミュニケーションUIを採用しました。
金融商品コンテンツなどとの連動を検討しています。
会話画面
スーモカウンターでの取り組み
リクルートグループの住まいカンパニーが運営する、スーモカウンターの店頭にTAISHIと連携させたPepperを設置しました。
子ども向けにタブレットを活用したゲームコンテンツを開発し、
大人向けにはPepperとの多彩な会話を楽みながら住宅に興味を持ってもらう取り組みを実施しました。
店舗での様子と効果
お子様連れのファミリー層へのアピール効果が高く、設置前と比較し、店頭での滞在時間や、来店組数が大幅にアップしました。また対話ログの蓄積と応答文のブラッシュアップを適時実施したことに加え、Pepper for Bizの標準機能であるインタラクション分析や独自で開発したログ集計ツールを活用しました。
ソフトバンク様によるご紹介
検証から本格展開までの経緯
TAISHIを搭載したPepperの実証の場として、住宅相談カウンターの「スーモカウンター」に設置
- 2015年5月
- スーモカウンター 1店舗にて、フィジビリティ開始
- 2015年9月
- スーモカウンター 3店舗にて、フィジビリティ開始
- 2015年12月
- スーモカウンター 15店舗にて、本格運用開始
TAISHI搭載Pepperの構成
基本会話データに加えて、住宅や金融などの専門会話データを搭載しています。
TAISHIの高速レスポンスにより、会話遅れなどの違和感がない会話を実現しました。
文脈考慮の機能
直前の話題から推測し、返答する文脈考慮を搭載しています。
たとえば、「金利」は各種ローン金利、預金金利、債券の金利等、多く存在しますが、
現在の会話の流れから、どの金利に対して返答すれば良いかをTAISHIは、判断します。
※上記は説明の為のイメージであり、現在の金利とは異なりますので、ご注意ください。
活用例
TAISHIを利用した対話インターフェースは、様々なサービスへの活用を目指しています。
アーキテクチャ
TAISHIは、クラウド上の複数のサーバーを利用して構成されています。主要処理部分は、大きく分けメインコントローラーを含むプレマッチング(前段処理)部と、大量の会話データから応答候補を検索する検索処理部です。
■プレマッチング・コントローラー
特定キーワードによる独自処理の他、外部との接続(Web-APIなど)により、応答データに外部データを付随したり、応答データの選出に外部データを扱うなどの処理を行います。
■応答データ検索部
応答データの検索処理部では、独自のアルゴリズムにより、入力された文により近い応答文の候補を返します。検索エンジンにも使われている機能をベースに高速マッチングを行っており、データ更新も容易に行うことができます。
サブシステム
TAISHIのサブシステムとして、対話応答の主要機能の他に会話改善等に向けたログ集計機能があります。会話ログを集計し、頻出ワード、トレンドワード、NGワードなど会話データの改善に役立てることができる他、Pepperと組み合わせ、独自インタラクション分析ツールとしても利用可能です。
今後の展開
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Pepper
Pepperはリアルな店頭での対人インタフェースとして非常に魅力的です。引き続き、実店舗でのノウハウを活用し、会話のブラッシュアップを行います。
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専門会話の拡充
共同での検証も視野に入れ、専門会話辞書のバリエーション・精度の向上を目指します。
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機会学習の進化
応答データやログデータの分析に使用する機械学習を更に進化させ、複数の機能で利用する計画です。
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外部デバイス連携
IOT機器、脳波等との連携をし、人間と会話をしなくても、人間の気持ちをくみ取り会話に変化加える等の試みを実施していきます。
詳しくは以下よりお問い合わせください。