こんにちは、リクルートATL(アドバンスドテクノロジーラボ)でIoT関連の研究を行っている菅原です。

昨今のセンサーの利用は、単なる事象の測定だけにとどまらず、その測定値を稼働条件としてオートメーション化を実現する利用が増えてきています。

たとえば、人感センサーによる自動照明・消灯ライトなどが、単純なセンサーとの連携稼働の例だと思います。

上記はセンサー:アクチュエータが1:1の連携稼働であるため、稼働環境や稼働条件処理がシンプルで、システム構成も単純に構築できます。

しかし、より大規模なオートメーションシステムを構築する場合には、センサー:アクチュエータがn:nになり稼働環境や稼働条件処理が複雑で、システム構成も複雑になります。

たとえば、センサー(風向き、風力、天候、気温)による自動でアクチュエータ(換気・暖房)を行うビニールハウスなどのオートメーションを実現する場合には、

・個々のセンサーデータの値により、個別条件でアクチュエータが稼働する

・システムを構成する機器はそれぞれ適正な位置に設置されるため個々の機器間は遠隔になる可能性がある

などのシステム構成を可能にしないといけません。

通常、n:nのセンサーデータとアクチュエータで連携稼働を実現する為には、センサー:アクチュエータがn:nの通信が必須で、通常、有線接続で実現されます。

しかしながら、有線接続では、設置制限や仕様変更作業が複雑になるなどの課題が発生します。

そのデメリットを解消するため上記の要件を無線接続で行い、かつ無線接続の優位性を高める電池駆動による省電力プラットフォームを考案しました。

手法としては、下図の様に通常では行われないブロードキャスト通信で、n:nのセンサーデータとアクチュエータで無線省電力連携稼働を実現します。

図1:考案したプラットフォーム構成

考案の仕様

今回の考案の仕様は、以下の通りです。

仕様1:有線接続ではなく無線接続で稼働すること

→センサーとアクチュエーター間の連携は無線通信で実現します

仕様2:設置後、センサー、アクチュエータを追加する際、システム全体の変更によらず、個別の仕様変更で可能なこと

→追加されるIoTの条件通知条件や稼働条件の個別変更で実現します

仕様3:設置後、アクチュエータの稼働条件がシステム全体の変更によらず、個別の仕様変更で可能なこと

→変更されるIoTの条件通知条件や稼働条件の個別変更で実現します

仕様4:各機器は電池で駆動すること

→連携稼働するすべての機器は電池駆動で実現します

上記、仕様の確認のために検証機構を作成し実現性・実用性実証テストを行いました。

実現性・実用性実証テスト

考案したプラットフォームの実用性実証テストのため、下記仕様で宅配ボックスを検証機構として作成しテストを行いました。

図2:検証用宅配ボックスのブロック図

仕様1、仕様4より、センサーとアクチュエーター間の連携は、無線通信・電池駆動で実現されています。

表1:検証用宅配ボックスのセンサー判定仕様、アクチュエーターの稼働条件

開閉センサー 荷物検知センサー 電子鍵の稼働 ブザーの鳴動
荷物 有(30g未満) 解錠 しない
荷物 有(30g以上) 解錠 しない
荷物 有(30g未満) 解錠 する
荷物 有(30g以上) 施錠 しない

仕様2、仕様3より、各機器の稼働判定仕様、稼働条件は、個別仕様変更が可能になっています。

表2:検証用宅配ボックス実用性テスト結果

No テスト内容 テスト結果
電子錠の稼働 ブザーの鳴動
1 30g未満荷物を入れて扉は閉めない 解錠 しない
2 30g以上荷物を入れて扉は閉めない 解錠 しない
3 30g未満荷物を入れ扉を閉める 解錠 する
4 30g以上荷物を入れ扉を閉める 施錠 しない

では、異なる条件で稼働している検証用宅配ボックス稼働動画を見ていただきます。

・荷物(30g以上)を入れて扉を閉める場合

・荷物(30g未満)を入れて扉を閉める場合

評価

考案したプラットフォームの実用性実証テストの結果、以下の優位性が確認されました。

  ・さまざまな条件下において、正常な連携稼働を実現できた

  ・各機器の稼働判定仕様、稼働条件は、個別設定し自由に変更することができた

  ・条件判定後の連携稼働は、動作動画でも確認できるように、10秒以内に連携稼働することができた

  ・すべての機器が電池駆動で連携稼働を実現することができた

  ・すべての機器が無線通信で連携稼働を実現することができた

以上より、本件で考案した複数のセンサーデータで無線連携稼働する複数アクチュエータ電池駆動省電力プラットフォームは、実現性・実用性があると判断でき、さまざまな用途に応用できる可能性を感じました。

考察

本件で考案した機構の応用的な利用方法としては、以下のようなものが考えられます。

下図は、玄関ドアが閉まっていて、窓は開いている状態で電子錠2台に対して施錠命令を出しています。

図3:本プラットフォームの応用事例

このように、本件はさまざまな用途に合せて柔軟に対応することが可能な方法であると考えます。今後は、より多様な用途での活用が可能になるよう、さらなる改善を検討していきたいと思います。